こんにちは!

親子関係コーディネーター 松生典子です。

ブログを訪ねてくださってありがとうございます。

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運動会シーズンに合わせて、行事が苦手な発達障害(グレーゾーン)のお子さんの困りごとと、周囲の大人がしてあげたいことを4回シリーズで書いています。

シリーズ#1:運動会当日の不安
シリーズ#2:感覚過敏と行事
シリーズ#3:運動が苦手な発達ちゃん
シリーズ#4:勝ち負けにこだわりすぎて運動会がつらい勝ち負けにこだわりすぎて運動会が辛い

今日は、シリーズ#3です。
今回は、発達ちゃんの抱える運動の不器用さについてです。運動会当日だけでなく、練習期間の段階から影響のあるトピックです(^ー^)。

運動会の種目いろいろ

ダンスや体操ができない!

発達凸凹ちゃんが運動会を嫌がる理由の1つに、「ダンスがみんなと同じように踊れない」というのがあります。

これは、脳の運動系の発達に凸凹を持っているからです。
体を思うように動かしたり、力加減をコントロールしたりできません。

運動会の1ヶ月ほど前から、運動会の練習が毎日のようにあると、
「あれ?なんでみんな先生のお手本を見ながらマネして踊れるの?」
「あれ?なんでみんな手と足を同時に動かすダンス、上手にできるの?」
「あれ?なんでみんな音楽のリズムに合わせてジャンプできるの?」
・・・と、これほどはっきりとは思わなくても、なんか自分がうまく動けていないことが、小学生にもなれば自分で気づいてしまいます。

これが毎日続くとなると、ダンス自体も苦手で嫌だし、うまく踊れない自分に自信を無くすし、クラスのみんなとの練習も苦痛になるしで、本人はとてもつらいですね。

とくに自信を無くしたり劣等感を持つことが、今後のいろいろなステップアップの足かせになってしまうことが、私は一番の問題だと思っています。

運動系の脳の発達はこんなかんじ

運動系は、発達凸凹ちゃんの脳の発達の遅れの中でも、わかりやすいものです。
・胎児期 ⇒ あまりお腹を蹴らない(30週~35、6週にかけて)
・乳児期 ⇒ 初歩が遅め(1歳を境に前後数ヶ月より後)
・小児期 ⇒ 体力・器用さ(運動計画)・視覚協調が弱い

などで、遅れを発見することができます(発達障害は総合的な判断ですので、運動面の遅れだけで発達障害ということではありませんよ~)。

運動機能にもいろいろありますが、今回は、運動会のダンスや体操における不器用さについて、お話をします。

ダンスの何が難しいの?-協調運動障害-

では、具体的に何が原因で、ダンスや体操につまずいているのでしょう?
体の感覚や運動機能に関する脳の発達の凸凹により、以下のような困難がでてきます。

①自分の体のカタチ・動きのイメージが確立していない。
②目と手、などの協調がうまくいかない。体の右側と左側の協調が難しい。
③視機能が弱いことが原因で、体を動かせない。

ダンスや体操では、このような壁があって、苦手になりやすいです。
これを専門用語では、「協調運動障害」と言います。読んで字のごとく、’協調’と言われる脳の機能のつまづきです。

発達ちゃんは、大なり小なり協調運動障害を併せ持っている子が多くいるんですね~(発達性協調運動障害と言います)。

ところが、動きのぎこちなさが発達の問題であるという理解が無ければ、
「なんで先生の言うとおりにしないの?」
「もっと練習してください。」
など、指示の理解不足や本人の努力不足として注意を受けたり、
「下手だなあ。」
と友達に笑われたりなどに繋がりやすくなってしまいます。先述したように自分でもうまくできないことに傷ついている場合ならなおさら、自信を失ってしまいます。

本人の普段の活動のしづらさも辛いのですが、小学校生活ではとくに運動ができる子が人気者になりやすいので、自尊感情への影響も特に注意してあげたいところです。

日常の遊びの中で自然に鍛えていく

発達ちゃんの運動障害に対して、療育などでは鍛えたい脳の運動機能を区分してトレーニングするメニューがたくさんあります。
もちろんそういうのを利用するのも良いと思いますが、日常の中で上記①②③を改善するような遊びをすれば、お金もかからず、もっと簡単に取り組めますね!

※ちなみに、お家でトレーニングメニューをするというのは、小平的にはあまりおすすめしません。お母さんが熱心であればあるほど、お家が一番リラックスできる場所でなくなるからです。トレーニングメニューを組みたいのならば、そういった施設に通う方が良いと思います。

上記①②③に対応した対策として、例えば。。。

①自分のカラダのアウトラインを知るために、服の上からでもいいので全身をスルスルと軽くゆっくりマッサージしてあげる。
「○○(子どもさんの名)の太ももの外側はここで~す(笑)」などと、触れている場所を言えれば尚良いですが、何も言わずに気持ちよくマッサージでも構いません。
とくに関節部分(手首・足首や指、肘・膝、肩など)は、ママの手で包み込んで、摩擦をせずに少し圧迫してあげるとよいです。
また、お子さんを仰向けに膝を曲げずに伸ばして寝ころがせ、ママさんがお子さんの足裏のかかと部分を頭の方向にこぶしでトントン叩いてあげる(けっこう強く!)と、衝撃が膝関節と股関節に伝わり、脚の大きな関節の場所を脳に教えることもできます。

②「これできる?できたらスゴイ!」と、右手と左ひざ⇒左手と右ひざをタッチするのを見せて、まねてもらう。’体の真ん中の線をまたぐ動き’がミソなので、そこを押さえていれば何でもいです!トレーニングにならないようにしましょうね。何となくでもできたら大絶賛をしてあげて下さい!

③目の運動の問題は発達ちゃんにはよくありますので、これまた専門のトレーニングが存在しますが、お家では、「ボールの投げ合い」が、室内でもできます!最初はバランスボールみたいなおっきいボールでいいです。自分から相手、相手から自分へと飛ぶボールを追視しながら、ボールをキャッチするために全身を動かすことができます。屋外なら、広い公園でサッカーもいいですね!

上記3つは私もよくやりますし、気持ち良かったり楽しかったりするので、子どもの情緒の安定や感情の発散にも効果大でオススメです!

とくにADHD系の子は体を動かすことが好きなので、喜んでやってくれるのではないかと思います。

ちょっと気をつけたいのは触覚過敏のあるお子さんです。マッサージを嫌がるなら無理強いは絶対ダメです。でも、関節を包んで圧迫する方法は受け入れてくれる場合があります。

あと小学生には、学校や公園のジャングルジムもおすすめします!鉄で囲まれた枠を見て見当をつけてから、自分のカラダがくぐり抜けられるように動かないといけないので、ボディイメージがつけやすいことと、両手両足をまんべんなく使えるからです。

また、トランポリンをお家に置けるのなら常備しているといいなと思います。続けて5分くらい飛んでいることもありますよ。

子どもの脳の発達にとって、運動は認知や情緒などの担当部分とのネットワークが強いため、体をよく動かすことは、発達全体の底上げになりますよ~。

そのほかに気をつけたいこと

「運動会でダンスや体操を嫌がる」のテーマに対して、今回は運動機能の面からのアプローチを書きました。

ただ、発達ちゃんが運動会のダンスを嫌がる場合、
・モチベーションがつかない
・ダンスの時にかかる音楽の音がうるさい
・鳴り物(太鼓や竹筒などを使う踊りなど)を使うのが怖い
・衣装が気に入らない
・着替えが嫌

・・・など、発達ちゃん流の理由があったりもしますので、お子さんの思っていること、感じていることをよく聞いてあげて下さいね(=^・^=)。

私の息子の場合、小学1年生のときは音楽も振付もかわいい系のダンスだったので、「かっこいいのじゃないからゼッタイ踊りたくない」と、運動会前からよく言っていました。
アスペルガー系が混じっているお子さんですと、’ええかっこしい’な部分があって、
行事としてやらなければならないものであっても自分を曲げることが難しい場合もありますので、
「そうだよねー、確かにかっこいいの踊りたいよねー。」と、気持ちに共感することは大切ですね。

そういったことを、担任の先生にも伝えておきましょうね。

ちなみに息子は、2年生の運動会では、文字通りかっこいいダンスを嬉々として踊ってくれましたよ!先生ありがとうございます~~!(^^)!

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次回は、運動会シリーズ最終回、
「勝ち負けにこだわりすぎて運動会が辛い」をお送りしますね。

最後までお読みくださり、ありがとうございます(^o^)

お子さんとお母さん、
そしてご家族の未来を変える力を、
一緒に育んでいきましょう!