こんにちは 松生典子です。

発達ちゃんは、言語の問題がいろいろとありますが
今日は、『たとえ話がわからない』件についてお話しいたします。

桜のトンネル

『桜のトンネル』がわからない!?

息子が小学校に上がった春のこと。
家族で車でお出かけをしました。

桜並木の中を通り、とても見事だったので、私は息子に
「わぁ、きれいな桜のトンネルやねぇ~。」
と話しかけました。

ところが

「・・・・・。」

息子は景色を見たまま、なんの返事もありません。

「これ、きれいじゃない?桜がさぁー?」
と、また声をかけると
「あ、桜がきれい、って言いたかったんだ?
それならそうと言ってよー。
オレ、どこにトンネルがあるのかと思って、探してたんだよ。」

たとえ話の受け取り方

息子にとっては、空が見えないくらいに重なった桜の枝の下を通ってそれを見ていても、
私に言われた『桜のトンネル』とは結びつかなかったのです。

それまで私は、息子には言語の問題は無いと思っていましたが
この会話ではっきりと、”たとえ話や比喩が理解しづらい”という
息子の「困りポイント」を発見しました。

「あ、桜の枝がね、両方からこうやって天井でつながっててさ、
桜でできたトンネル”みたいに”なってるやん?
だから『桜のトンネル』って言ってみたんだけど、意味わかる?」
と説明してみました。

「そういう場合は、
”桜でできた、トンネルじゃないけどトンネルっぽくなったの”って言わないと、他の人に通じないよ」
と、逆に解説する息子。
これまでにも息子に通じていなかった言い回しがあるかのような言い方でした。

砂場でトンネルを作るなどでは通じていましたので、
”トンネル”の素材として、”桜”はナシなのですね。

こんな風に、”つまづくポイント”があって、たとえ話や比喩がスッと理解できずに、
”ほんもののトンネル”を探してしまったりして、話が混乱します。

(たとえ話や比喩がわからない要因にはこのほかに、
”字面のままの意味で受け取ってしまう”
というパターンもよく言われているところですね。)

たとえ話をしない方がいいのか?

発語も遅くなく、知的な問題も無いグレーゾーンの子の場合、
発言はしっかりしているので言語の問題が見逃されがちです。

特に就学前だと、日常会話で難しい比喩表現を使うことはあまり無いので
そのまま就学する子もたくさんいると思います。

しかし、小学校に入ってからは、
先生も幼児さん向けの話し方ではなく、児童用にお話しされますし
朝礼などの話の聞きとりや、文章を読み書きする生活が始まります。
 
そんな中で、言語の理解に偏りがあると
急に毎日の生活の居心地に違和感が出始めます。

先生と生徒
言語の理解に関する問題は、気づかれずに放置されると、こんな困り感につながります。

・お門違いの徒労や、不可解な経験をたくさんする。
・会話がかみ合わず、周囲の人が違和感を感じる。
・情報の伝達のゆがみから、さまざまな失敗体験をする。

とても生きづらくなる問題なので、早い時期に周りの大人が気づいて対策をはじめることが大事だなと思います。

「じゃあ、なるべくたとえ話や比喩を使わずに、
”具体的に わかりやすく”伝えるようにすればいいよね。」
と、思いますよね?
言語の苦手へのサポートとして、これは王道です。

私も、”具体的に わかりやすく”伝える技術は
周囲の大人が持っておくものだと思います。

けれど、子どもが小学校のうちはとくに
たとえ話や比喩表現を、意識的に教えながら使う、ということが
”将来の生きやすさ”のために一役買うように思います。

決して、たとえ話や比喩をガンガン使って子どもを混乱させたり、失敗から学ばせるのではありません。
『桜のトンネル』の例ですと、
桜でできたトンネル”みたいに”なってるやん?」
の部分。こういう補足を比喩表現を使う時には面倒でも付け加えてあげると、
凸凹ちゃんは、とても納得しやすくなります。

ポイントは、”~みたいに”です。
これが無くて省略されていることが、
凸凹ちゃんがたとえ話や比喩をすんなり納得できない理由なのでは、と感じることが度々ありました。
”~みたいに”を省略せずに言ってあげると納得できるし、
そもそも例え話や比喩の成り立ちは”~みたいに”ですものね。
 
こういった、”暗黙の前提”のようなものがわからないのが凸凹ちゃんなので、
タネ明かしをすれば、理解が進みます。
 
そして、タネ明かしをたくさん聞くことで
たとえ話や比喩表現が、そんなに不可解なものでなくなってきます。
 
 
とくに9歳・10歳あたりは
生涯のうちでもっとも「語彙増加率」の高い時期です。
難しい単語や、ことわざ・慣用表現など、コトバに自然と興味が湧いてどんどん覚えられる特別な時期ですので、
本能的な力も味方にして、脳の比喩回路の建設をサポートできるといいですね。
 
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最後までお読みくださり、ありがとうございます(^o^)

お子さんとお母さん、
そしてご家族の未来を変える力を、
一緒に育んでいきましょう!